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東京高等裁判所 昭和55年(行ス)16号 決定

抗告人

中央労働委員会

右代表者会長

平田冨太郎

右指定代理人

西川美数

外三名

右補助参加人

日本労働組合総評議会全国金属労働組合

茨城地方本部オリエンタルモーター土浦分会

右代表者執行委員長

酒井清

右代理人

佐々木恭三

ほか四四名(別表〈省略〉)

相手方

オリエンタルモーター株式会社

右代表者

倉石得一

右代理人

坂本成

主文

原決定を取り消す。

相手方は、相手方を原告とし、抗告人を被告とする東京地方裁判所昭和五五年(行ウ)第二五号行政処分取消請求事件の判決確定に至るまで、茨城地方労働委員会が茨労委昭和五一年(不)第四号不当労働行為救済申立事件につき昭和五二年一二月二四日付をもつて発した命令の主文第一項(抗告人が中労委昭和五三年(不再)第一号事件につき昭和五四年一二月一九日付をもつて発した命令により一部変更されて別紙記載のとおりに維持するものとされている。)に従わなければならない。

本件手続費用(参加によつて生じた費用を含む。)は、原審及び当審を通じて、相手方の負担とする。

理由

(抗告の理由)

別紙抗告理由書記載のとおりである。

(当裁判所の判断)

本判決主文第二項に掲げる不当労働行為救済命令は、行政庁である茨城県地方労働委員会及び中央労働委員会による公権力の行使たる行政処分であるから、その行政行為に重大かつ明白な瑕疵があることにより無効とされる場合を除いて、適式に取消、変更されるまでは何人もその効力を否定することができない(行政行為の公定力)。したがつて、相手方を原告とし、抗告人を被告として、本件救済命令の取消しを求める東京地方裁判所昭和五五年(行ウ)第二五号行政処分取消請求訴訟の係属とはかかわりなく、本件救済命令は一応適法かつ有効とみるべきものである。

そして、記録によると、相手方は、本件救済命令に従わないことにより、その事業場である土浦事業所における企業内労働組合で、本件救済命令にかかる総評全国金属労働組合茨城地方本部オリエンタル土浦分会との間においては、団体交渉を一切持たないこととし、相対峙する緊張関係を続けて既に四年を超えるに至つていることが認められるから、本件救済命令の必要性及び緊急性があるものといわなければならない。

以上の理由によれば、抗告人による緊急命令の申立は理由があるから認容すべきである。右申立を却下した原決定は取消しを免れず、本件抗告は理由がある。

よつて、原決定を不当として取り消し、相手方に対して、本件救済命令に従うべき旨を命じることとし、手続費用の負担につき行訴法七条、民訴法九六条、八九条、九四条に従い、主文のとおり決定する。

(中川幹郎 真榮田哲 木下重康)

別紙

中労委昭和五三年(不再)第一号事件命令により変更後の茨労委昭和五一年(不)第四号事件命令主文第一項

オリエンタルモーター株式会社は、総評全国金属労働組合茨城地方本部オリエンタルモーター土浦分会と、同分会組合事務所貸与の件に関して、速かに誠意ある団体交渉を行わなければならない。

別紙〈以下、省略〉

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